ウィスコンシン発のエナジードリンク、BUBBL’R(バブラー)が40万人の人々を虜にした理由

筆者は、アメリカに留学中のインターン生です。異国の文化に触れながら学びを深める日々は発見の連続です。その一つが、大学の朝のクラスに出席するたびに、必ず誰かが持っている細身の缶です。この飲料が何であるのか最初は分かりませんでしたが、よく観察してみるとキャンパス内の自販機にも同じものが頻繁に並んでいました。

調べてみるとそれはBUBBL’R(バブラー)というエナジードリンクの一種でした。学生は特に授業や課題だけでなくバイトやクラブ活動と、時間に追われる日々です。そのためエナジードリンクが大学生に人気があるという事実は日本でも驚くべきことではありません。また、エナジードリンクは疲労回復や集中力向上の強い味方となるでしょう。それに加えて、BUBBL’Rのエナジードリンクとは思えないようなポップでカラフルなそのデザインにとても心惹かれたことを覚えています。

単なるエナジードリンクであるだけではなく、そのデザインやブランディングが若者の心を捉えているのではないかと考えました。そこで今回は、BUBBL’R が若者の心を鷲掴みする理由を、SNSマーケティングの観点からご紹介していきたいと思います。

BUBBL’R (バブラー)とは?

BUBBL’Rは、コーラでお馴染みのペプシ社のフランチャイズであるWis-Pak社によって、2017年にウィスコンシンで生まれました。「Boost Your Future(未来にブーストをかけろ)」というキャッチフレーズの通り、エナジードリンクの新しい形として人気を博しています。先述の通り、そのキャッチーなデザインは人気の要因の一つです。しかし、エナジードリンクと聞くと、「体に悪くないの?」「カフェインや砂糖の量はどれくらいなの?」と成分表示も気になるところ。

例としてBUBBL’Rの人気フレーバーの一つである「triple berry breez’r」の成分表示を確認してみると…

(参照:BUBBL’R 公式サイト https://www.drinkbubblr.com/wp-content/uploads/2023/12/WPB-BUBBLR-tripleberrybreezr-NF-1.pdf 、参照日6月10日)

缶1本あたり5キロカロリーと、355mlの内容量にしてはカロリーは高くありません。その下の項目をみていくと、脂質、糖質がともに0グラムとの表記があります。この成分表示からもわかるように、BUBBL’Rは、天然の風味と色を生かし、人工甘味料を使わず、天然カフェインを特徴とした抗酸化スパークリングウォーターです。Bubbl’rの12オンス(355ml)の缶に含まれる天然カフェインの量はコーヒー1杯分と同等です。また、グルテンフリーでビーガン向け、血糖値の上がりにくい飲み物なので、年齢にかかわらず様々な人が楽しめるという強みを持っています。これらの特徴により、甘味がありながらも砂糖を含まない『健康的な』カフェインの摂取ができる点で他の商品と一線を画しています。

(参照:Sattelite https://neenahsatellite.com/26153/features/craze-around-the-popular-drink-bubblr-explained/、参照日:2024年6月10日)

ユーザーを巻き込むBUBBL’RのSNS戦略

BUBBL’Rには、持ち運びに適したデザインであるという利点があります。BUBBL’Rは全部で12個のフレーバーからなり、そのどれもがフォトジェニックな色合いです。BUBBL’R公式のTikTokアカウントやInstagramアカウントでは、BUBBL’Rと様々な「映える」背景の写真や動画が投稿されています。

BUBBL’RがなぜSNSマーケティングに強いのか、理由を二つ考えてみました。

一つ目は、視覚的なインパクトが強いこと。
特に、自然の中の鮮やかな緑や青い空、カラフルなパッケージは、初めて見る人にも鮮明な印象を与えます。こうした色鮮やかな商品デザインは消費者の目を引きつけ、購買意欲を高めます。これらのデザインはBUBBL’Rに「エナジードリンクである」以上の価値を持たせるのです。

【BUBBL’R 公式Instagram 投稿】
https://www.instagram.com/p/C74YIYOsINh/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==

二つ目は、ユーザーとのコミュニケーションに重きをおいているところです。
現代のSNSにおいて、単なる情報の発信だけではなく、ユーザーとの対話を促すプラットフォームはますます人気を集めています。例えば、YouTube、TikTokのコメント欄がその最たる例です。公式アカウントに投稿された動画に対する反応、またはユーザー同士のコミュニケーションはよく見られます。

その中で、現在BUBBL’R公式がおこなっているSNSキャンペーンをご紹介します。

このキャンペーンはユーザー参加型のInstagram及びTikTok投稿キャンペーンです。参加者は「#BoostYourFuture」と公式アカウント「@drinkbubblr」のメンションとともに30-60秒の動画を投稿する必要があります。テーマは「自分が今情熱を傾けているもの」。このキャンペーンには計5人の審査員がおり、優勝者には$20,000の賞金が授与されるという一大イベントです。

(参考:BUBBL’R https://boostyourfuture.com/home?gad_source=1&gclid=CjwKCAjw65-zBhBkEiwAjrqRMDeaLIo2b0lf8zGtXjwWzJIioMbBt872pMsCyx6XZMBB9wiZoUZ1RhoCl9EQAvD_BwE
参照日:2024年6月11日)

実はこのキャンペーン、前回優勝者の方が今回の審査員となっている形です。残念ながら彼が前回グランプリを取った作品は現在削除されているのか、SNSで見つけることはできませんでした。しかし、今回審査員として参加する彼がキャンペーンのプロモーションとしてInstagramに投稿した写真は、BUBBL’R公式アカウントの投稿群とかなり親和性があるように思います。先ほど一つ目の理由として挙げた通り、BUBBL’Rが視覚的に持つインパクトは、同製品のセールスポイントであることがわかります。

【今回のキャンペーン審査員のプロモーション投稿(Instagram)】
https://www.instagram.com/p/C7zSrs4uGbS/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==

このようにBUBBL’RはSNSユーザーに積極的な参加を促す戦略を打ち出し、 BUBBL’R製品の宣伝、ひいては各SNSユーザーの関心を効果的に集めています。

現在時点でのSNS戦略の効果は?

2023年、BUBBL’Rはソーシャルメディアで40万人以上のフォロワーを獲得し、TikTokで最も急成長しているスパークリングウォーターブランドになりました。
上記のような戦略が功を奏し、BUBBL’Rの新たなフレーバー「ウォーターメロン ライム スマッシャー」は過去3年間で小売店での発売が18%増加し、カリフォルニアだけでも60店舗のTarget (ディスカウントスーパー)がBUBBL’Rを取り扱っています。

(参考:BEVNET https://www.bevnet.com/news/2024/bubblr-smashes-into-2024-with-watermelon-lime-smashr/#:~:text=BUBBL%27R%20is%20looking%20to,Brand%20Development%20for%20BUBBL%27R
参照日:2024年6月11日)

今回は、エナジードリンクを手軽により多くのユーザーの手に取ってもらうためのSNS戦略をご紹介しました。健康面を考えてカフェインを摂取できるという製品の魅力に加え、ユーザーにSNSでのアプローチをすることで爆発的に認知度を上げることに成功しました。健康面において革新的なこのドリンクがアメリカにおいて今後どのような動きを見せるのか、目が離せませんね。

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