アメリカで行列ができない理由 アメリカでバズを作るには?

こんにちは、LAでインターン中の社会人留学生です。

アメリカに来てから、週末や放課後に友人といろいろなところに出かける上で1つ、疑問に感じたことがあります。それは「こんな素敵なところ、なぜ大流行していないんだろう?!もしも日本にこんなところがあったら、SNSで大バズり、大行列になるだろうに!」ということ。それを感じた場所はカフェ、レストラン、バー、写真映えスポットなど多岐にわたります。が、一方で社会人としてマーケティングをかじっていた身としては、「日本に比べ、アメリカでは流行を作る難しさがあり、行列店や大流行するスポットが生まれにくいのでは?」と気が付きました。

でも、それはなぜなのでしょう?調べたこととともに、アメリカでバズを作るヒントをお話ししたいと思います。

アメリカで行列ができにくい理由

アメリカで行列ができにくい理由としては、下記の3つがあげられそうです。

①国土の広さと人口分散、消費者の多様な嗜好による選択肢の多さと競争

まず、アメリカは日本に比べ広大な国土を持ち、人口も広く分散しているため、一部の都市や地域だけに集中して人が集まることが少ない傾向にあります。さらに、アメリカは多民族・多文化社会のため、消費者の嗜好も非常に多様です。そのため日本に比べて1つのトレンドが全国で一斉に話題になることは少なく、特定の地域や年齢層のみで支持されることが多いのです。

そうした背景から、アメリカでは多数の店舗や飲食チェーンがあり、選択肢が非常に豊富なため、1つの店に人が集中することが少なくなっています。

また、多くの企業が競争の中で新しいサービスや製品を提供し続けるため、消費者の興味や関心が分散され、特定の店だけが大流行する現象がなかなか起きにくいのです。

②予約システムやオンライン注文の充実

また、アメリカに住む人々は行列に並ぶことを嫌う傾向が強く、長時間の行列に対してあまり我慢強くありません。そのため、予約システムやオンライン注文など、行列を避けるためのサービスが充実しており、結果として行列自体ができにくくなっています。人気のあるスポットでも、効率的に来店できる方法があるため、自然と行列ができにくい構造になっています。

実際に、どこの飲食店に行っても、だいたいオンライン注文のピックアップ場所が用意されていたり、先にレジで注文してお会計をするタイプの飲食店の場合は「For here? Or to go?」と聞かれることが多く、テイクアウトのシステムが浸透している印象です。また、週末は並ぶ可能性がある人気スポットでは、入場料が無料だったとしても、オンライン上での入場チケットの事前予約システムがあり、当日はスムーズに入場することができます。

③流行の広がり方の違い

日本では、テレビ番組やSNSで話題になると全国に情報が広がり、同じものを試してみようとする傾向が強いですが、アメリカでは個人のライフスタイルや地域性を重視する傾向があり、流行が一斉に広がりにくいです。そのため、一部の都市で話題になっても、他の地域に影響が及びにくいのです。

例えば同じカリフォルニア州内でも、サンディエゴはよりメキシコに近いためかメキシコ系の方が多く、アジア系や黒人系の方を見かける機会は少ない傾向ですが、ロサンゼルスではメキシコ系の方の割合はサンディエゴよりやや低く、反対にアジア系・黒人系の方をよく見かける印象があります。同州内でもこのように違いがあるため、地域性や人種が大きく影響するのは納得です。

 

アメリカでバズを作るには

このように、アメリカでは広大で多様な土地柄による事情やシステムの発達のおかげで、行列ができにくくなっていると考えられます。難しいところですが、行列ができていないからと言って、必ずしも流行していないとも言えなさそうです。

では、アメリカで流行やバズを作るにはどうしたらいいのでしょうか?

①地域やターゲットを絞り、その中で独自性と限定感を強調する

前述の通り、多種多様なアメリカ国民全員を対象に流行を生み出すことはかなりのハードルの高さがうかがえるため、まずはターゲットとする地域や年齢層などを絞ることが重要でしょう。

絞ったうえで、そのターゲット層に刺さるユニークなコンセプトや物語性、限定感を持たせることで、ターゲットの関心を引くことができます。例えば、特別な調理方法やユニークな内装、地域特産物を使ったメニューや数量限定・季節限定品など、特別感を出すと魅力的です。

②SNSでバズを作る努力

行列ができにくいとすれば、SNS上でバズを作ることが有効でしょう。そのためには、定めたターゲット層に刺さるよう、SNS映えする商品や店舗デザインなどのビジュアルにこだわり、思わず写真に収めたくなるような工夫を凝らします。これにより、SNS上でのシェアが広がり、自然に特定のターゲット層の中で口コミが広がります。

また、定めたターゲット層と親和性の高いインフルエンサーとコラボし、彼らのフォロワー層にリーチすることで、一気に話題を拡散できます。無料招待や試食会を通じて宣伝効果を高めると、より注目度が高まるでしょう。

そして、これは根本的な部分ですが、ターゲットが実際にその場所へ訪れた際の顧客体験の質を高めることも重要です。フレンドリーでホスピタリティあふれるサービスや、細部まで行き届いたクオリティの高い体験が、さらにSNS上でのシェア・口コミを促進させます。顧客が「また行きたい」「誰かに勧めたい」と思うようなサービスを重視することが大切です。

③並ばない工夫もする

少々話は逸れますが、SNS上でバズが起こり、ターゲットが実際にその場所へ訪れた際、大行列・大混乱になりすぎないよう、オンライン予約や順番待ちシステムを導入することも重要でしょう。それにより、行列を避けたい人のストレスを減らし、人気スポットとしての体験価値を保つことができます。

また飲食店であれば、テイクアウトやデリバリー、ドライブスルーなどの選択肢を設けることで、物理的な行列を減らしつつ、話題性を維持できます。テイクアウト限定の商品やSNS投稿を促進するパッケージも有効でしょう。

いかがでしたでしょうか。アメリカでは、多種多様な人種による多様性・地域性、予約システムやオンライン注文の充実により、行列ができにくくなっています。

個人のライフスタイルや地域性を重視する傾向から、ターゲットを絞り、それぞれの消費者の嗜好や文化に合わせたプロモーションや体験価値を提供することが重要です。並ばない工夫もしつつ、SNS上でバズを作れれば、アメリカでも流行を作ることができるかもしれません。

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