【インタビューの目的】
こんにちは!
Glowkeyの鈴木と申します。
本インタビュー記事は、米国市場にチャレンジしている日本企業の皆さんにインタビューを実施し、進出の裏話や米国市場に対する手応え、今後の目標などを伺うする企画です。
これから米国市場へ進出する方々の参考になれば幸いです。
今回は再生可能エネルギーを中心とし、アメリカの主要施設で電力安定化対策などを行っている、VLI-EV・代表西川昌夫さんに日本とアメリカの事業の違い、準備するべきことなどを中心にインタビューしました。
こんにちは!本日はよろしくお願いいたします。
早速ですが、自己紹介をお願い致します!
西川昌夫です。現在、VLI-EV のCEOを務めております。
会社と事業内容について教えてください。
会社名はVLI-EV (https://www.vli-ev.com/)です。
事業内容は、再生可能エネルギー発電安定化、その他特殊用途の蓄電システムの設計製造及び設置運営をしています。
サービスには、再生可能エネルギーのバランシング、ピーク需要の削減、マイクログリッド・ソリューション、特殊用途のEVバッテリーパック、EVバッテリーパックの再利用などが含まれます。
エネルギー効率の改善、電力網の安定化、商用・産業用・公益事業用顧客のCO2排出量削減を目指しています。
他にもこれから、クリーンエネルギーの食への転換イニシアテイブの事業を進めております。
ありがとうございます。「再生可能エネルギーのバランシング」とは何でしょうか?
再生可能エネルギーのバランシングとは、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの供給と需要をうまく調整することです。再生可能エネルギー発電は天候によって変動するため、電力の供給が安定しないことがあります。このバランシングによって、余った電力を蓄えて必要なときに使ったり、電力不足を補ったりして、電力供給を安定させるのです。これにより、再生可能エネルギーの効果的な利用が可能になります。
マイクログリッド・ソリューションについて、詳しく教えてください!
マイクログリッド・ソリューションとは、小規模な電力供給ネットワークのことです。このシステムは、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを使って地域や建物単位で電力を供給します。例えば、学校や病院、工場などが自分たちで電力を作り、必要なときには電力を使うことができます。エネルギーの地産地消と言っても良いでしょう。
※EVバッテリーパックの再利用とは・・・
電気自動車(EV)の使用済みバッテリーを別の用途に使うこと。
例えば、EVで使い終わったバッテリーはまだ電力を貯める能力が残っており、家庭や工場での電力貯蔵装置として再利用可能である。
これにより、廃棄物を減らし、資源を有効活用することができます。
再利用されたバッテリーは、太陽光発電や風力発電と組み合わせて、
エネルギーの安定供給にも役立ちます。
事業についてより理解できました!ここから、アメリカでの事業状況に関して教えてください。
蓄電システムを中心として、5つの事業を行っております。
①高出力長寿命蓄電システム
②最大90MW級再生可能エネルギーのRamp Rate
③周波数・電圧補正用の大規模蓄電システム
④6分間で50%SOCを充電し、年間4000サイクル充放電をする大手エンターテイメントパーク用トラムのEV化
※SOC(ステート・オブ・チャージ)とは・・・
バッテリーの充電レベルを示す言葉。バッテリーがどれだけ充電されているかをパーセンテージで表したもの。
例えば、SOCが50%なら、そのバッテリーは半分充電されている状態を示す。
⑤カリフォルニア州最大級の空港トランジットシステム用の急速バックアップ蓄電システム
※急速バックアップ蓄電システムとは・・・
大きな空港で電車やバスが停電しても動き続けるための特別なバッテリーシステム。
このシステムは、電気を早く貯めたり使ったりできるので、停電が起きてもすぐに電力を供給して交通機関が止まらないように活用される。
これにより、空港を利用する人々が安全かつスムーズに移動できる状態を維持している。
今後は日米にてクリーンなエネルギーを自動植物栽培工場などに横展開しClean Energy Transformation to Food(クリーンエネルギーの食への転換イニシアテイブ)の実現を目指しています。
どのような企業がターゲットになるのですか?
再生可能エネルギー発電事業者、データーセンター、トランジットシステムなど、基本的にはBtoB向けの事業です。
なぜアメリカに進出しようと思ったのですか?
主に3つです。一つ目は、自由であること。二つ目は意思決定が速いこと、そして三つめは市場規模が大きいことです。
市場に関しては米国の人口は日本の3倍であり、エネルギー消費量が5倍、CO2排出量も5倍であるためビジネスチャンスがあると思い、アメリカ進出をしました。
アメリカで起業をされて、事業を拡大できたと考える理由を教えてください。
人脈、ネットワーク、技術の勉強、お客様の勉強の4つです。
具体的には、積極的に誰とでもお会いし、お話しを伺う、自身や会社で、何が・どこで、貢献できるビジネスをできるか考えて活動をしていました。
実際に事業をすると知らないことが沢山あるので、一つ一つを丁寧に、エンジニアやお客様のお話をよく聞いて勉強して行く事が大切です。その結果、ご紹介をいただき、入札などによるビジネスチャンスの確保をすることで事業を拡大してきました。
アメリカでビジネスをする上で準備するべきことは何でしょうか。
アメリカだからなんでもやって良いわけではないと思います。
ビジネス法やビジネスPractice(商慣習)、最低限のアメリカ的なエチケットを理解し、Project Management(プロジェクトマネジメント),
Business Laws(業界関連の法律を含む),
Finance and Accounting(財務会計), Contract Negotiations(契約交渉), Entrepreneur Management(起業家マネジメント), Labor Laws(州法、特にカリフォルニア州 ※アメリカでは各州で法律を制定している)など、それぞれの業界の法律・規制を理解する事が肝要と考えます。
自身の商品をしっかり位置付ける。また複雑なマネジメントはいつでも存在するので優先順位を決めるために、
未知数のものをその都度早急につめ、解決することが必要です。
アメリカでビジネスをする上で大事にしていることを教えてください。
どこの国でもそうだと思いますが、どの様に世の中に貢献しているかを忘れないことが大切だと思います。
お金儲けだけを考えるとあまり上手く進まなく、楽しいと思って仕事をします。
感謝し、初心を忘れず興味を持ち続け、いつでも現場をみることも大切だと思います。
これから進出する企業に一言お願いします!
頑張ってください。人と比較するという事ではなく分からないことはプロの方々と経験者にどんどん相談をすると良いと思います。応援しています!
インタビューにご協力いただき、ありがとうございました。今後のご活躍をお祈りしております!
※VLI-EV社では現在、一緒に働いていただける学生さんを募集しています。
興味のある方はコーポレートサイトより詳細をお問い合わせください。
https://www.vli-ev.com/
【プロフィール】
西川昌夫。
現在、VLI-EV Partner and CEOを務める。
慶應義塾大学経済学部卒業後、ソニー(株)国際通商法務、半導体部門、シリコンバレー赴任。
その後サンデイエゴ市Qualcomm社とのジョイントベンチャーでファイナンシャルオフィサーを務め、2社目にてVLI-EVを起業。